「ITエンジニアに転職すれば年収を上げられるのだろうか?」「未経験からでも、本当に収入アップは可能なのか?」――そう感じている人は少なくありません。今、IT業界は慢性的な人材不足のため、未経験者でもスキルを身につければチャンスを掴める環境が整っています。
結論から言えば、ITエンジニア未経験でも戦略的に転職活動を行えば、年収アップは十分に実現可能です。重要なのは「需要の高いスキルを選ぶこと」と「成長性のある企業を見極めること」です。
この記事では、未経験からITエンジニアとして転職し、年収アップを叶えるための具体的な方法を解説します。スキル選びのコツ、転職市場で評価されるポイント、そしてキャリア形成の考え方まで、実践的なステップを紹介します。
未経験からITエンジニアへの転職で年収アップが狙える理由
IT業界が今も人材不足の状態にある背景
まず押さえておきたいのは、なぜ「未経験からITエンジニアで年収アップ」が現実的な選択肢になっているのかという点です。背景には、長年続いているIT人材不足があります。多くの企業が、自社サービスの開発や業務のデジタル化、クラウド移行、DX推進などに取り組んでおり、ITエンジニアに求められる仕事は増える一方です。
しかし、その需要に対して、ITエンジニアの供給は追いついていません。特に、今後の中核を担う20代〜30代のITエンジニアは、どの企業も取り合いの状態です。結果として、エンジニアの年収水準は全体的に上がりやすく、未経験からスタートした人でも、数年かけて経験を積めば、他業種より高い年収レンジを目指しやすい状況が生まれています。
この「構造的な人材不足」と「需要の増加」の組み合わせが、ITエンジニアへの転職で年収アップが狙える大きな理由です。
未経験者でも高年収を目指せる職種の特徴
ITエンジニアと一口に言っても、職種や分野はさまざまです。その中でも、未経験からでも年収アップにつなげやすい職種には特徴があります。例えば、Webアプリケーション開発や業務システム開発といった「開発系」のITエンジニアは、経験を積むほど扱える案件の単価が上がりやすく、将来的に高年収を狙いやすい分野です。
また、クラウドエンジニアやインフラエンジニアなど、インフラ寄りのITエンジニアも、企業のシステム基盤を支える重要な役割を担うため、スキルが安定して年収に反映されやすい職種と言えます。さらに、将来的にPM(プロジェクトマネージャー)やテックリード、アーキテクトなどのポジションを目指せば、年収帯は一段と高くなります。
ポイントは、「専門性が蓄積される職種かどうか」「市場でのニーズが高い分野かどうか」です。最初は未経験でも、方向性を間違えなければ、数年単位で高年収ゾーンが見えてきます。
「経験」より「スキル」と「成長意欲」が重視される時代
昔は「何年この業界で働いたか」が重視される風潮が強くありました。しかし、技術の変化が激しい現在のIT業界では、単純な年数よりも、「今どんなスキルを持っているか」「これからどれだけ伸びていきそうか」が重視されるようになっています。
企業は、古いやり方に固執する人よりも、新しい技術やツールを積極的にキャッチアップできるITエンジニアを求めています。そのため、未経験であっても、需要の高いスキルを計画的に学び、自分で小さなサービスやツールを作れるレベルまで到達していれば、「育てがいのある人材」として前向きに評価されます。
つまり、「今は未経験だから年収が上がらない」のではなく、「どれだけ早く市場価値の高いスキルを身につけるか」で年収の伸び方が大きく変わる時代になっているのです。
ITエンジニア未経験から年収アップを実現するためのステップ
ステップ1:キャリアの方向性と目標年収を明確にする
年収アップを実現したいなら、最初にやるべきことは「なんとなくITエンジニアになりたい」という状態から抜け出すことです。どの分野のITエンジニアを目指し、数年後にどのくらいの年収を目標にするのかを、ざっくりでも良いので言語化しておきましょう。
例えば、「3年以内にWebエンジニアとして年収400〜500万円を目指す」「インフラエンジニアとしてクラウドスキルを習得し、将来的に年収600万円以上を目指す」といったイメージです。方向性が決まれば、学ぶべきスキルや狙うべき企業、取るべき資格などが具体的に見えてきます。
この「キャリアの地図」を描かずに動き始めると、学習内容も転職先の選び方もバラバラになり、結果的に遠回りしやすくなります。年収アップを狙うなら、スタートの時点で「どの山を登るのか」を決めておくことが重要です。
ステップ2:高収入に繋がるスキルを選択・学習する
方向性が決まったら、次にやるべきは「どのスキルに投資するか」を決めることです。年収アップを狙うなら、単に「流行っているから」ではなく、求人ニーズが高く、単価や年収に直結しやすいスキルを選ぶ必要があります。
たとえば、業務システム系や企業向けの案件が多い環境で働きたいなら、JavaやC#といった言語が有力候補になります。Web系やスタートアップ志向なら、JavaScript(TypeScript)やPython、Rubyなども有望です。インフラ寄りのキャリアなら、Linuxやネットワークの基礎に加えて、AWSやAzureなどクラウドの知識が重要になります。
学習の際は、文法をなぞるだけで終わらせず、簡単でも良いので「自分で設計して作ったもの」を完成させる意識を持ちましょう。この経験が、そのままポートフォリオや面接でのアピールにつながります。
ステップ3:実務経験を積める環境でスタートする
未経験からいきなり高年収のITエンジニアを目指すのは、現実的ではありません。まずは、一度「駆け出しのエンジニア」として現場に入り、実務経験を積むことが必要です。この段階では、年収だけで転職先を選ぶのではなく、「学べるかどうか」「成長できる環境かどうか」を優先しましょう。
研修制度がある企業、コードレビューを受けられる環境、先輩エンジニアに質問しやすい文化などは、未経験のITエンジニアにとって大きなプラス要素です。ここでしっかり基礎を固めておくと、次の転職や年収アップのチャンスを掴みやすくなります。
最初の一社目は「修行の場」として位置づけるイメージで構いません。短期的な条件だけでなく、中長期的なキャリアと年収を見据えて選ぶことが、結果として年収アップの近道になります。
ステップ4:スキルアップと転職を繰り返して市場価値を高める
ITエンジニアとして年収を上げていくパターンの多くは、「スキルアップ」と「転職」を段階的に繰り返す形です。ひとつの会社で実務経験を積み、スキルが一定レベルに達したタイミングで、より条件の良い企業や案件にステップアップしていきます。
もちろん、やみくもに転職回数を増やせば良いわけではありません。少なくとも1〜2年は同じ現場でしっかり成果を出し、任される仕事の幅を広げてから次のステージへ進むのが理想です。そのうえで、「今の自分のスキルは、他社から見てどれくらいの価値があるのか」を定期的に市場で確かめるために、情報収集や面談を行うと良いでしょう。
年収アップは、単に「上げてください」とお願いするだけでは実現しません。市場で評価されるスキルセットを身につけ、それを証拠とともに提示できるITエンジニアになることで、自然と年収レンジが上がっていきます。
年収アップに繋がるITエンジニアのスキル・資格
需要の高いプログラミング言語(Python・Java・JavaScriptなど)
年収アップを狙うなら、需要の高いプログラミング言語を選ぶことが重要です。中でも、Java、Python、JavaScriptは、現在のIT業界で特にニーズが高い言語として知られています。
Javaは、業務システムや大規模な企業向けシステム、Androidアプリの開発など、幅広い分野で利用されています。大手企業やSIerで採用されていることが多く、案件も安定して豊富です。Pythonは、Webアプリ開発に加え、データ分析や機械学習といった先端分野でも人気が高く、技術トレンドとの相性が良い言語です。
JavaScriptは、フロントエンド開発に欠かせない存在であり、ReactやVue、Next.jsといったフレームワークと合わせて習得することで、モダンなWeb開発に携わりやすくなります。
これらの言語は、学習教材も豊富で、未経験からでも独学しやすい環境が整っています。一本軸となる言語を決め、その言語で簡単なアプリケーションを作れるレベルまで到達できれば、ITエンジニアとしてのスタートラインに立てます。
資格で差をつける!基本情報技術者・AWS認定・LPICの活かし方
資格だけで年収が劇的に上がるわけではありませんが、未経験からITエンジニアを目指す段階では、「基礎知識を持っていることの証明」として有効に働くことがあります。特に、基本情報技術者試験は、IT全般の基礎知識を広くカバーしているため、ITエンジニアとしてのベースを固める意味でもおすすめです。
インフラやクラウド寄りのキャリアを目指すなら、AWS認定やLPICなどの資格も有力です。AWS認定資格は、クラウド環境を扱うエンジニアとしての知識をアピールでき、クラウド案件に強い企業やSIerからの評価に繋がりやすくなります。LPICはLinux環境の基礎から学べる資格で、インフラ系ITエンジニアを目指す人にとって役立ちます。
重要なのは、資格を「ゴール」にしないことです。資格の勉強を通じて得た知識を、実際の環境構築やアプリ開発に活かすことで、年収アップに繋がる「実務価値のあるスキル」へと変えていくことができます。
実務で評価される「問題解決力」や「設計力」の磨き方
年収の高いITエンジニアに共通しているのは、単にコードが書けるだけでなく、「問題を解決する力」や「システムを設計する力」を持っていることです。これらは、現場で経験を積む中で少しずつ磨かれていきます。
問題解決力を高めるには、日々の開発で発生するバグやトラブルを「ただ直す」だけではなく、「なぜ起きたのか」「二度と同じことを起こさないためにはどうすべきか」を考える習慣を持つことが有効です。原因の切り分け方や仮説検証のプロセスを意識することで、自然とエンジニアとしての視点が鍛えられていきます。
設計力については、小さな機能でも良いので、「どのような構成にするか」「どのような責務分担にするか」を考えながら実装することが重要です。コードを写経するだけでなく、自分なりにクラス設計やAPI設計をしてみることで、設計力は少しずつ向上します。こうした力が身についてくると、より上流の工程を任されるようになり、結果として年収にも反映されやすくなります。
転職を成功させるための戦略
成長企業・外資系・フリーランスという選択肢
ITエンジニアとして年収アップを目指すなら、どのような立ち位置で働くのかという選択も重要です。成長企業に入って一緒にスケールしていく道、外資系企業で高い報酬レンジを狙う道、あるいはフリーランスとして案件単価で勝負する道など、複数のパターンがあります。
成長企業は、事業が伸びるほどポジションや役割が増え、結果的に年収アップのチャンスも広がりやすい環境です。一方、外資系は、成果に応じて報酬がはっきり反映されやすく、英語やグローバルなコミュニケーションが得意な人には向いています。
フリーランスエンジニアは、一定の経験とスキルが必要ですが、案件を選びながら高単価を狙いやすく、自分の裁量で働き方を決められるのが魅力です。未経験の段階では難しくても、中長期的なゴールとして視野に入れておくことで、身につけるべきスキルや実績の方向性が見えやすくなります。
転職エージェントを活用して年収交渉を有利に進める方法
年収アップを目的とした転職では、転職エージェントをうまく活用することも大切です。エージェントは、企業側の予算感や年収レンジ、選考で重視されるポイントなどを把握しているため、自分一人で求人サイトだけを見て探すよりも、条件の良いポジションに出会える可能性が高まります。
特に年収交渉の場面では、エージェントの存在が心強いです。自分で直接「もっと年収を上げてほしい」と言いづらい場合でも、エージェントが間に入って交渉してくれます。その際に重要なのは、「自分がどのような価値を提供できるのか」「どのような実績があるのか」を事前に整理して伝えておくことです。
エージェントを使うときは、ただ任せきりにするのではなく、自分のキャリアの方向性や年収の希望を明確に伝えたうえで、一緒に戦略を立てていく意識を持つと良いでしょう。
ポートフォリオで自分の実力を“見せる”重要性
未経験からITエンジニアに転職して年収アップを目指すうえで、ポートフォリオは非常に重要な武器になります。履歴書や職務経歴書では伝えきれない「実際の実力」を、目に見える形で示せるからです。
ポートフォリオには、自分が作成したアプリやツール、学習の過程で作ったプロジェクトなどをまとめます。その際、単に成果物のリンクを並べるだけでなく、「何のために作ったのか」「どの技術を使ったのか」「どこで工夫したのか」を簡潔に説明できるようにしておくと効果的です。
ポートフォリオがあることで、企業側は「この人にどんな仕事を任せられそうか」を具体的にイメージしやすくなります。未経験であっても、「実際にここまで作れる人」と認識してもらえれば、年収レンジに関する評価にもプラスに働きます。
まとめ:ITエンジニア未経験でも年収アップは「戦略」で実現できる
長期的なキャリア設計を意識する
ITエンジニア未経験からの転職で年収アップを実現するには、短期的な年収だけを見るのではなく、中長期的なキャリア設計を意識することが重要です。一社目ですぐに理想の年収に届かなくても、その会社でどんなスキルや経験を積めるのか、数年後にどのポジションを目指せるのかという視点で考えると、選ぶべき道が変わってきます。
「どの分野のITエンジニアになるのか」「どのくらいの期間でどの年収帯を目指すのか」といったざっくりしたキャリアマップを持ち、それに沿ってスキルと経験を積み上げていくことで、結果として年収は後からついてきます。
学びを止めず市場価値を高め続ける
最後に、年収アップの一番の鍵は、「学び続けるITエンジニアであり続けること」です。技術は常に進化し、求められるスキルも変わっていきます。その中で、自分のスキルセットを定期的にアップデートし、学んだことを実務やポートフォリオに反映していく人は、市場価値を高め続けることができます。
未経験からスタートすることは、決して不利ではありません。むしろ「これから伸びていく余地が大きい」と考えることもできます。ITエンジニアとしての一歩を踏み出し、戦略的にスキルと経験を積み上げていけば、年収アップは現実的な目標になります。
焦らず、しかし着実に。一つひとつのステップを積み重ねながら、自分の望むキャリアと年収に近づいていきましょう。

